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JULY 6, 2016

注目のラン&ガンゲーム『Cuphead』プレイレポート
【プログラマーによるE3 2016レポート】

2016年6月14~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたE3 2016。
視察に参加したクリーチャーズスタッフが、注目タイトルをレポートします。

開発3部 プログラマー/古河航

開発3部の古河です。
2015年4月に入社し、プログラマの卵として勉強中です。
このレポートでは、E3を賑わすとあるインディーズゲームを紹介します。

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Cuphead

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E3に行くことが決まったときから、『ゼルダの伝説』最新作と同じくらい楽しみにしていた『Cuphead』が今年のE3 2016にも出展されていた。
『Cuphead』は、カナダのインディーズデベロッパ「Studio MDHR」が1936 (+80) 年中のリリースに向けて開発中の「ラン&ガン」スタイルのアクションゲームである。1930年代のDisneyやFleischerを思わせる懐かしい雰囲気の手書きアニメーションとJazzyなBGMから受ける印象とは裏腹に、その内容は果敢に挑んだプレイヤをものの数分で跳ね除け、一瞬の内にゲームオーバーへと追いやる、これまた“懐かしい”高難易度ゲームである。
プレイヤは主人公のCupheadとMagmanを操り、ジャンプやショットを駆使して次々と現れるボスと戦うのだが、濃密な敵の攻撃に翻弄され、文字通り秒殺される。やっとの思いでパターンを掴みダメージを与えられるようになったかと思えば、敵の攻撃パターンはより激しく、より不規則になっていく。小規模チームによるインディーズ作品であり、ビジュアル・難易度ともに近年のビデオゲームの真逆を行くこの作品が、多数のビッグタイトルが続々と発表されるE3においてなぜこれほどの注目を集め、インディーズゲームとしては破格のモニタ4台によるプレイアブル出展という地位を確立したのか。今回ほんの少しの時間ではあったが、実際にプレイしたことでその理由を体感することができた。

E3 2016バージョンの『Cuphead』には、従来の難易度を「normal」とし、新たに「easy」モードが追加されたり、ゲーム内で獲得したコインによってキャラクタを強化するアイテムが獲得できるようになっていたりと、より多くのユーザが楽しめるような仕組みとなっており、今回は(自分としては非常に残念なことに)easyモードをプレイすることとなった。同時に台に付いた人と2人プレイを行う形で列が進んでいたのだが、海外渡航自体が今回初めてで、碌に英語も話せない自分には、初対面の(失礼ながらあまり上手なプレイヤではなかった)外国人相手に、「easyとnormalどっちにする?」と聞いて「easyモードで」と言われて強く出られるような度胸なんてなかった。normalモードでのプレイは製品版の楽しみにとっておくことにする。

とにもかくにもプレイしてみると、easyモードだったことや映像で見たことのある敵だったこともあり初プレイでも問題なくノーダメージでクリアできた(パートナーの外国人は早々にゲームオーバーになっていた。助けられなくてごめん)。しかし、たった10分ほどのeasyモードでのプレイでも、『Cuphead』からはビジュアル、ゲーム内容双方において作者が強いこだわりをもって作られた作品であることが伝わってきた。『Cuphead』が初めて世に出たのはE3 2014。当初から皆の注目を一身に集めたカートゥーン調の映像は、なんとそのすべてを手描きで作成しているというから驚かされる。その作画枚数は既に1万を超えているそう。さらにフィルム映像特有のノイズや撮影ボケが加えられることで、その質感が高められている。
あまりに高い難易度も、『Cuphead』の制作者が『ガンスターヒーローズ』や『魂斗羅』といったラン&ガンゲーム作品に強い影響を受けたことからきているものだそうだが、だからといってただ理不尽なだけのものではないという印象を受けた。次第にパターンが複雑化していくとはいえ、『Cuphead』も歴代のラン&ゲームと同じく、敵の攻撃には必ず予備動作があり、プレイヤに要求されるのは何度も何度もゲームオーバーになりながら、操作精度を向上させ、敵の動作から一瞬先の状況を的確に判断する経験値を高めることである。

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一見敬遠されがちな超高難易度のアクションゲームでありながら、一瞬でゲームオーバーになってもまた遊びたくなるのは、面白可笑しく、そして今になって思えばなかなかにえげつない表現も多分に含まれていた、誰にとっても懐かしいカートゥーンアニメーションと、かつてエンディング画面を目指して挑んだ数々の高難易度ゲームをプレイしたときの悔しさや達成感、双方に惹きつけられてのことであると感じた。ゲームオーバーになってもなぜだか許せてしまうビジュアルの可笑しさと、難しいからこそ少しずつ自分の上達が感じられるゲーム性が、プレイヤにまた遊びたいと思わせてくれる要因なのかもしれない。実際、『Cuphead』をプレイしたり並んで見たりしている人たちは、次々とゲームオーバーになりながらも皆楽しそうであった。

古いのに新しい、懐かしいのに新鮮、一見理不尽に思えるほど難しいけどその実フェア、そんな『Cuphead』がどのような完成形でプレイヤを迎え撃つのか、今度も注目していきたい(日本でも是非発売してほしい!)。

(古河航)

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