mae_eyecatch

OCTOBER 5, 2016

クリーチャーズの“コアプレイヤー”が見た世界大会 【ポケモンWCS2016レポート】

開発1部 情報管理セクション 前野圭

クリーチャーズ開発1部所属の前野です。
担当業務は、ポケモンカードゲームの商品企画や制作物の進行管理です。
僕は個人的にカードゲームが好きなことや、ポケモンカードゲームのテストプレイに長く携わっていたこともあり、ゲームプレイには自信があります。ですので、タイトルにはあえて「コアプレイヤー」とつけました。
この記事では、作り手としてはもちろんのこと、プレイヤーとしての視点も踏まえて「ポケモンワールドチャンピオンシップス2016」(以下、「ポケモンWCS2016」)の様子をお伝えしたいと思います。

mae_profile

喜びと不安を抱え、サンフランシスコへ!

ポケモンWCS2016の視察が決まった瞬間、僕は、大きな喜びとともに、同じくらい大きな不安を感じました。それは、「初めての海外」「初めての飛行機」というものです。
会社の先輩たちと同行するとはいえ、初めてでいきなり、遥か遠方の外国です。出発まで、ずっと変な緊張感を抱えていました。それでも、ポケモンWCSという大イベントを現地で見られるということと、まだ見ぬ世界のトッププレイヤーに会える期待に胸を膨らませながら日本を発ちました。 

サンフランシスコは朝や夜遅くになると濃い霧が街をすっぽり覆ってしまうことが多く、そのため夏でも平均気温が20℃前後とかなり涼しい地域です。出発前に一通り調べて、温暖な気候とは聞いていましたが、予想以上に涼しく、上着を一着しか持ってこなかったことを後悔しました。
町中は急な坂が多く、坂の上からは町全体が見渡せるほど高低差が激しいですが、建物や町並みがその地形に合わせて設計されているため、とても整っていました。町並みの美しさだけでなく、ケーブルカーが市内を走っていることでも有名です。

mae_01

mae_02

mae_03

他には、軍事要塞や刑務所だったことで有名な「アルカトラズ島」が近くにあります。フェリーですぐに行ける距離で、対岸から見ることもできます。

mae_04

開会式での新情報発表

mae_05

現地時間の8月19日、会場となるSan Francisco Marriott Marquisでは開会式を控え、多くの人が集まっていました。イベントのスタートと同時に、会場内に続々と世界各国のプレイヤーが入場してきました。

そこでとても印象的だったのが、友人と久しぶりに再会し、ハグや握手で喜びあう人がたくさんいたことです。過去のポケモンWCSでできた友人なのか、それとも遠方の友人がこの機会に集まったのでしょうか。ポケモンWCSで海外の友人やライバルを作ることができるというのも、このポケモンWCSならではの魅力です。開始早々、「ポケモン」というコンテンツが世界中で愛されているということを、改めて実感させられたのでした。

そして開会式が始まるといきなり、ゲームとカードゲームの新情報の発表が。開幕早々のサプライズにプレイヤーたちは、一瞬なにが起こったのか分からない様子で戸惑っていたようです。ですが次の瞬間、熱気溢れる歓声を上げ、大きな盛り上がりを見せていました。

「ポケモンカードゲーム」の新情報は、映像からスタート。画面内に「EX」「M」「BREAK」と、現シリーズの強力なカードのロゴが映し出されるのに合わせ、プレイヤーたちも「イーエックス!」「メガ!」「ブレイク!」とコール。会場の盛り上げ方やノリの良さはさすが!と思わざるを得ません。そしていよいよ、新シリーズの新要素「GX」の文字が浮かび上がります。続いてソルガレオGX、ルナアーラGXのカードが登場すると、ひときわ大きな歓声が上がりました。ポケモンカードゲームの次なる展開が全世界に伝わった瞬間です。

映像が終わると、ポケモン総合プロデューサーの石原恒和氏が、新シリーズと「GX」の詳細を語り始めました。先ほどまでの盛り上がりとうって変わって、会場内には緊張感が流れました。真剣に聞き入るプレイヤーたちからは、「GX」を詳しく知ろうとする様子がうかがえました。

mae_06

※ソルガレオGX、ルナアーラGXの画像は開発中のものです。デザインや内容が変更になる場合があります。

開会式が終わると、日本人プレイヤーの方たちに声をかけられ、初めて見た「GX」に対する感想や考察を聞かせてくれました。
ほんの一部ではありますが、現役のトッププレイヤーたちが、今のポケモンカードゲームの環境をどのように捉えているのかや、GXの登場による今後の変化への予想などについて直接話を聞くことができたのは、とても貴重な体験でした。彼らがポケモンカードゲームの行く末を考え、どれだけ好きでいてくれているのかが、このとき強く伝わってきました。

大会のようす

mae_07

今大会はDay1,、Day2、Day3と、3日間に分けて行われます。Day1の予選を勝ち抜き、さらにDay2で上位8位までに入った選手がDay3の決勝トーナメントに進出することができます。例年、上位入賞へのボーダーラインはおよそ1敗までとなることが多かったように思います。長く厳しい戦いが始まりました。

今大会で人気のデッキは、ワザ「よるのこうしん」で大ダメージを出すデッキと、オーロットBREAKを主軸にして相手の行動を妨害するデッキです。これらは日本国内の大会でも多く使われており、今大会では、このふたつのデッキに対していかに戦うか、どのような対策をしてきたかが試されます。

mae_08

mae_09

他には、基本水エネルギーをトラッシュすることでダメージ与えるゲッコウガBREAKデッキを始め、ガマゲロゲEXがメインアタッカーのデッキ、ビークインを使ったデッキが多く見られました。

mae_10

mae_10-2

選手の皆さんの表情は常に真剣で、自分の思い描いたプレイが決まった時はガッツポーズをしたり、プレイングをミスした時や相手が予想外のプレイをした時などは、一様に悔しい表情をしたり。中には悔し涙を浮かべている選手もいました。
選手の数だけ様々な表情があり、一試合一試合にすべてを賭けている熱い想いを感じました。

mae_11

mae_12

勝ち上がったのは……

最終的に決勝トーナメントに進出したデッキは、前述した人気のふたつのデッキに対して対策してきたデッキが、多くを占めていました。たとえば、「よるのこうしん」デッキはグッズを非常にたくさん使いますが、そのグッズを使わせなくするワザを持つガマゲロゲEXデッキ。そしてそのガマゲロゲEXやゲッコウガBERAKの弱点を突くことができる草タイプのデッキなどです。

その中でも特に注目だったのは、マスターディビジョンで優勝した「MタブンネEX」デッキでした。今大会の環境予想ではほとんど注目されておらず、全くノーマークの状況から決勝の舞台に上り詰めてきたのです。決勝戦の模様は会場内の大きなモニターに映し出され、解説付きで観戦することができます。誰もが決勝戦の様子が気になって、モニターに釘付けとなっていました。

mae_13

MタブンネEXに、オーロットBREAK対策としてマギアナEXを組み合わせたのが素晴らしいです。

バトルポケモンとベンチポケモンの両方に同時攻撃できるワザを持つMタブンネEX。この同時攻撃で一気に相手を倒していき、短時間で勝負を決めるデッキです。

観戦している人たちは、MタブンネEXデッキの動向に一喜一憂していました。サイドにMタブンネEXがいってしまった時は落胆の声が響きわたり、逆にMタブンネEXが場に出た時は大きな歓声が上がったり。会場の盛り上がりは最高潮に達します。
結果は見事、MタブンネEXデッキの優勝! 勝負が決まった瞬間、選手は立ちあがり、声援を送っていた会場の方々にガッツポーズ。観客だけでなく、他の出場選手たちもスタンディングオべーション。この時会場全体が一体となり、今大会一番の盛り上がりを見せた瞬間でした。

mae_14

固唾を飲んで決勝戦を見守る会場。優勝が決まった瞬間、一気に沸き立ちました!

今大会はHPの低いカードの使用率が多かったこともあり、バトル場とベンチを同時に攻撃できるMタブンネEXのワザが、かなり有効に働いていました。さらに、「よるのこうしん」の大ダメージに耐える高いHPや、無色タイプの利点である、好きなタイプのポケモンと組ませられる自由さを活かしたデッキ構築。これらの要素がすべて重なったことで、『優勝』という結果に繋がったのだと思います。
もちろんこのデッキを使用したプレイヤー自身の高い技量や、環境を読み解く思考力がなければ出せなかった結果でもあります。 

それにしても、MタブンネEXというカードを選択したのはとても驚きました。そして嬉しく思いました。当然のことですが、このような高レベルの大会では特に、多く使われるカードとそうでないカードが自然と出てきます。しかし今回の結果は、あらゆるカードにも可能性があるのだということを再認識させてくれました。

サイドイベントでの対戦

本大会とは別の場所で、「サイドイベント」と呼ばれる、誰でも参加できるイベントが行われていました。カードゲームとビデオゲームの好きな方に参加することができ、自由に対戦できるスペースとなっていました。
参加費はかかりますが、勝つごとにポイントをもらうことができ、集めたポイントに応じて景品と交換できるシステムとなっています。時間帯によって対戦形式が変わり、通常の公式大会で採用されているXYレギュレーションや、ポケモンカードゲームBWシリーズのカードが使用できる対戦、その場で拡張パックを開けて入手したカードでデッキを組むシールド戦など、様々な遊びがあり、こちらも多くの人たちで賑わっていました。

mae_15

mae_16

さっそく僕も持参したデッキでイベントに参加。最初の対戦相手は、一緒にこの視察に来たクリーチャーズの同僚……!?「なんでだー!?海外の人と対戦したかったー!」と愚痴を言いながらも対戦を始めることに。結果は僕の勝利! ポイントをゲットし、次の対戦に進みます。
次の対戦相手も、確率は低いはずの日本人プレイヤー。しかし現役プレイヤーと対戦できる機会はそうそうないので、楽しく対戦することができました。結果は負けてしまいましたが……。 

もらったポイントは、海外限定のデオキシスがデザインされたプレイマットと交換してきました。戦利品です。良い経験と思い出の証なので大切にしようと思います。

mae_17

ちなみに僕が持参したのは、シャンデラデッキです。トラッシュにあるサポートの枚数ぶん、ワザのダメージが上がるデッキです。選んだ理由としては、単純にシャンデラが好きだから! ただそれだけです(笑)。

mae_18

現地の方との出会い

最終日の大会終了後は、会場にいたいろいろな方たちとフリー対戦を楽しみました。そこで、今大会で「ポッ拳」のヘッドジャッジをされていた方と対戦することができました。ニックネームは「Mr.ライチュウ」(ライチュウ大好きだそうで)。とても明るく気さくな方で、終始笑顔で対戦をしてくださいました。

3回対戦を行い、結果は私が2勝1敗と勝ち越し。「とても強いプレイヤーだ」と認めてくれて、「私のことをMr.ライチュウと(ニックネームで)呼んでいいよ」と、許可ももらいました(笑)。
言葉の壁があったため、こちらの思いをしっかりと伝えることができるか心配ではありましたが、実際には色々な話をすることができましたし、対戦を通じて楽しくコミュニケーションをとることができました。言葉は通じなくても、ポケモンカードゲームという共通の遊びを通すことで、お互いを理解し合えるというのはすごく貴重な体験でした。

mae_19

この日、海外初の友人ができました。その名は「Mr.ライチュウ」!

2日前の開場直後、友人との再会を喜んでいた人たちの姿を思い出します。今度はいつポケモンWCSに行くことができるかわかりませんが、僕もこの友人と再会できることを夢見て、日々の業務を頑張っていこうと思います。

最後に

今年初めてポケモンWCSに参加しましたが、行けてよかったと心から思います。映像や写真で見るのとは全く違う、実際にその場にいなければわからない様々ことを体験しました。会場が盛りあがった時の熱気や、優勝者が決まった瞬間の感動。次回会場が発表された時の、「次こそ勝つのは自分だ」という皆さんの情熱。プレイヤー一人一人の表情や感情を、直に見て、触れて、感じたことは、何にも代えがたい貴重なものです。
「ポケモンカードゲーム」というものが世界共通で遊ばれていて、言葉の壁を越えてコミュニケーションがとれるツールなのだということを改めて実感しました。自分たちが作っているものが世界中でドラマを作り出している。このことを一生忘れませんし、これを胸に今後の開発にも、一層気合いを入れていきます。 

ありがとうございました。

mae_20

(前野圭)

 

©2016 Pokémon. ©1995-2016 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. 
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

PAGE TOP