MARCH 31, 2017

好きなものをドット絵で描いてみよう【現役ゲームクリエイターによるドット基礎講座|第5回】

ドット基礎講座も5回目となるので、「好きなものを自由にドット絵にする」というテーマに挑戦したいと思います。なんでも好きなものというと、自作のキャラクター、ペット、旅先の素敵な風景など、いろいろなものを連想します。と言っても題材によって描き方は千差万別。すべての描き方をお教えすることはできないので、今回は、親しみがあってドット化するとかわいい「生ビール」を題材にします。

「生ビール」をドット絵にしてみる

「生ビール」は、中身とジョッキという素材が複合しているので、作画してみると色々と勉強になります。最初の基本形作画から終わりまで工程が多いですが、最後まで描くと完成度がかなり高まります。ぜひチャレンジしてみてください。

またドット絵は、実物をその通りに模写してもうまくいくとは限りません。今回の生ビールは、実物を参考にしつつも、わかりやすくディフォルメしながら描いていきます。

今回の作画で主に使用する機能

今回も無料ドット作画ツールの「EDGE」を使って説明します。「EDGE」のインストールについてはドット講座第1回をご覧ください。
>ドット講座第1回

今回は、
■自由曲線の描画(1ドットずつ打てる基本のツール)
■長方形の描画
■長方形 中塗りつぶし
の3つの機能を主に使います。用途に合わせて機能を使い分けると、作画が楽になりますよ。

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1.ジョッキの基本形の作画

まずはジョッキを描いていきます。

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1_1.

「長方形の描画」ツールで、ジョッキの本体部分を作画します。ペン幅は2ドットにします。ジョッキ本体のサイズは14×20ドットにしました。
最終的には全体で19×23ドットに仕上がります。

■ジョッキの基本色は「R:170 G:170 B:165」です。
■背景色は「R:80 G:160 B:210」です。
※今回使う色の一覧は、記事の最後にまとめています。

1_2.

次は取っ手を描きます。本体同様「長方形の描画」ツールで、ペン幅は2ドットです。7×14ドットで、本体の上下真ん中より1ドットぶん上にくる位置に描きます。取っ手と本体は重なるようにします。

1_3.

ジョッキのベースになる形ができました。

1_4.

ジョッキの形を整えます。「自由描画」ツールに切り替えて、ペン幅を1ドットにします。描画色を背景色にします。ジョッキの上と、丸みを付けるために角の部分を、背景色で消します(図の矢印部分)。

1_5.

内側にも丸みをつけるために、ジョッキの色で図の矢印部分を描き足します。

1_6.

ジョッキの形が完成です。

2.アウトラインを付け足して、中身を描く

ビールと泡を描きます。

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2_1.

ジョッキの外側に、濃いグレーでアウトラインを加えます(ベタ塗りしたジョッキ本体はそのまま、上書きしないように)。
このとき、丸みを持たせた部分の塗り方に悩みますが、下図の黄色い部分は塗りません。

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■アウトラインの基本色は「R:90 G:90 B:85」です。

2_2.

ビールの中身を塗ります。泡の上辺と、泡とビールの境にアウトラインを引いてから、「長方形 中塗りつぶし」ツールで塗りつぶすと効率が良いです。
ちなみに、常にアウトラインを付けながら描き進めているのは、僕のドット絵の作風です。各物質ごとに(今回なら泡、ビール、ジョッキ)アウトラインで区切っています。今回は小さいサイズなので最終的には消しますが、この手順は守ったほうがきれいに仕上がります。画像サイズが大きければ、そのままアウトラインを残すこともあります。

■ビールの基本色は「R:250 G:215 B:20」です。
■泡の基本色は「R:255 G:255 B:255」です。

2_3.

バランスが悪いので、ジョッキの左右の厚みを1ドット幅に調整します。そのぶん中身を増やします。

2_4.

内側にアウトラインがあると厚ぼったいので、中身の色で塗って消します。泡とビールの境のラインは、バランスを見て泡の色で塗ります。

2_5.

このままだと淋しいので、泡を盛り上げます。2ドットぶんの高さを足して、左右は斜めにします。

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泡の上のアウトラインを描き足したら、ひとまずビールの完成です。お疲れさまでした。
これでおしまいでもいいのですが、今回はもっと手を加えて、よりかわいいドット絵になるように描き込んでいきます。

3.陰影や質感などディテールを描き込む

ここからは、気泡や陰影、光沢を加えてみましょう。「小さなドット絵でここまで表現できる」という醍醐味がよくわかると思います。ただし、このサイズであまり情報量を増やしすぎると、逆になんの絵かわかりにくくなってしまうので、ほどほどにすることも大切です。

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3_1.

ビールの黄色い部分に1ドットで気泡を描いてみましょう。「ごく薄い黄色」と「薄い黄色」の2色を使うことで、気泡に大小があるように見えます。位置や量は自由ですが、図を参考にしてみてください。多すぎないように。

■ビール内のごく薄い泡の色は「R:255 G:255 B:215」です。
■ビール内の薄い泡の色は「R:255 G:235 B:30」です。

3_2.

泡に影を付けて立体感を出します。ジョッキが円柱形なことを意識して、左右を暗くします。

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3_3.

ジョッキにハイライト、反射光、屈折光を加えます。ガラスの透明感と立体感が出て、いっきに存在感が高まりました。
光や影の入れかたを説明すると、とても長くなってしまうためここでは割愛しますが、ごく簡単なコツとして、以下の点を意識してみてください。

■光源の位置を意識する。今回は左上から光が当たっている想定です。
■ハイライトはその物質の中でいちばん明るい色になる。
■ハイライトや影を入れる分量に注意。面積に対して1割もしくはそれ以下で作画。

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■ビールのハイライトの色は「R:255 G:255 B:215」です。(ビール内の薄い泡と同じ)
■反射光と屈折光の色は「R:255 G:235 B:30」です。(ビール内の濃い泡と同じ)

※反射光は、ビール内の泡の濃いほうと同じ色です。くっついて形がゆがんでしまわないように、泡の位置を調整しましょう。

3_4.

ジョッキの取っ手にもハイライトを加えると、立体感が出ました。
3_3のままだと本体と取っ手の描き込み具合に差があるのですが、ここで解消されました。

■ジョッキのハイライトの色は「R:240 G:240 B:235」です。

これでまた、ひとまずの完成です。お疲れさまでした。
しかし今回は、さらにもう一段階上のプロの仕上がりを目指します。まだがんばれる、という方はお付き合いくださいね。

3_5.

ビール内部の外側を濃い黄色で囲み、影を加えると、メリハリがつきます。
このとき、反射光と重なる部分は、そのまま暗く囲まないようにします。「反射光の明るさ+影の暗さ」でプラスマイナスゼロということで、ビールの基本色にしましょう。

■ビール周囲の影の色は「R:220 G:175 B:10」です。
■影と反射光が重なる部分は「R:250 G:215 B:20」です。(ビールの基本色と同じ)

3_6.

ジョッキに陰影を加えます。さらに立体感が出ました。

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■ジョッキの影の色は「R:130 G:130 B:125」です。
■ジョッキのハイライトと基本色の中間の色は「R:200 G:200 B:195」です。

3_7.

アウトラインもなじませていくと、いっそう完成度が高まります。
3_3.で説明したように、光源を左上と想定しているので、アウトラインも上のほうが明るく(薄く)なるようにすると良いです。

※光源にあわせて左上あたりを明るくするという表現もありますが、ややこしくなるので、今回は上の方の全体をなじませています。

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アウトラインをなじませずに、あえて単色のままにするのも、マークのようになってかわいいです。

■アウトラインの明るい色は「R:130 G:130 B:125」です。(ジョッキの影色と同じ)
■アウトラインのさらに明るい色は「R:170 G:170 B:165」です。(ジョッキのハイライト中間色t同じ)

これで完成です! お疲れさまでした!

今回は19×20ドットという小さいサイズの中で、できるかぎり完成度を高めていきました。しかし、2_5.のようなベタ塗りでもビールだとわかりますし、3_1.のように気泡だけ加えたものもアニメっぽくて味があります。好みや用途によって、描き込み量は調整してくださいね。

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今回使った色のまとめはこちらです。

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いかがでしたでしょうか。好きなものをドット絵で自由に描くには、いったんディフォルメしてみることが重要です。このディフォルメ加減が本当はむずかしいのですが、何度も自分で試してみてコツをつかむしかありません。今回のビールを参考に、いろいろなドット絵を描いてみてください。

次回は、ファミコンゲームのようなドット絵のマップ背景をご紹介する予定です。

講師:HGT
19_profile

専門学校卒業後ゲーム業界へ入る。ドッターとして多数のゲームのキャラや背景画、エフェクト(アニメ含む)などを手がけてきた。途中グラフィック以外に企画等も経験。現在は株式会社クリーチャーズにて主に3DCGデザインを担当している。趣味は散歩や料理、休日は映画を観たりして過ごすことが多い。ジャンル問わず創作活動が好き。

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