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MAY 19, 2017

クリーチャーズのグラフィックデザイナーの仕事【第1回】
「ポケモンカードゲーム サン&ムーン」スターターセットのパッケージデザイン

アートデザインチームはポケモンカードゲームを開発している「ポケモンカード開発本部」に所属し、国内のポケモンカードゲーム関連商品の制作を主に手がけています。ほかに、社内で開発しているデジタルゲームやスマホアプリのロゴデザイン、画面のUIデザインや、『ポケモン』関連ゲームのパッケージ及びロゴデザインなども行います。
ここでは、デザイナーたちが各自担当した商品や業務を紹介させていただきます。

初回は、藤代が「ポケモンカードゲーム サン&ムーン スターターセット」のパッケージデザインについておおくりします。

【藤代育美】
主な担当:ポケモンカードゲームの商品パッケージデザイン、デジタルゲームのロゴ・UIデザイン

商品コンセプトをデザインで実現する

スターターセットは、そのまま対戦に使える構築済みデッキと、必要なアイテムがすべてセットになった商品です。新たにポケモンカードゲームを始めたい人に向けたもので、新シリーズが始動するときには必ずつくります。

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ポケモンカードゲームの制作はまず最初に、どのような遊びを提供するのかを決める“商品企画”と、遊びのシステムをつくる“ゲームデザイン”があります。そして「今回はこういう構成の商品をつくろう」となったときに、その意図を形状やデザインで表現するのが“グラフィックデザイン”です。

今回のスターターセットは、シリーズの顔となる最初の商品であり、たくさんの新しい試みにもチャレンジしています。そのため、グラフィックデザインの面でも様々な条件を満たす必要がありました。

企画チームやアートディレクターとの打ち合わせでコンセプトを共有し、それを満たすデザイン制作に取りかかります。商品企画・ゲームデザインの段階では、主なものとして以下のように設計されていました。

  • ◇ポケモンGXを本シリーズの中心に。
    ◇これからポケモンカードを始める人や、ファミリーで遊ぶ方、さらにベテランプレイヤーまで、いろいろな方が楽しめる商品である。
    ◇メインのカードであるポケモンGXが最初のスターターに入る、という初の試み。
    ◇XYシリーズの「はじめてセット」のように3個のデッキが入った対戦セットではなく、1人用のデッキを3種同時発売するという初の試み。

とくに“いろいろな方が楽しめる商品”というのはポケモンカードの普遍的なテーマなのですが、デザインに落とし込むのは難しくて、工夫が必要です。親しみやすいけれどGXの重厚なインパクトも表現したい。子どもにも、大人にもかっこいいと思ってもらいたい。相反する要素を取り入れるために絶妙なバランスを模索したのが、このパッケージです。

箱形状をデザインする

まず、XYシリーズの「はじめてセット」とは内容物とコンセプトが違うので、ひと目でわかる差別化は必須条件でした。「はじめてセット」は3デッキ入っているので横長で大きめなのに対して、今回は1人用とわかるような形状を目指しました。CDのパッケージのようなものや、お菓子や家電等、さまざまなパッケージを参考にして、現在の縦長で厚みがあるけどコンパクトな形状になりました。

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ポケモンカードゲームXYシリーズのスターターセットは、デッキが3個入って2人ですぐに対戦できるようになっていました。

シリーズを通して統一されたビジュアルイメージにするため、先につくられていたGXロゴの要素を取り入れました。GXロゴは直線のみで構成され、多角形になるようにカットされた輪郭が特徴的です。この形状は、鋭いだけでも攻撃的なだけでもなく、他者からの攻撃に動じない安定感や、カード環境の礎として常に戦いの中心に存在する重厚感を表しています。

箱の前面にこのカッティングを施すことでGXのイメージを踏襲しました。遊びかた説明書やプレイマットも入れなければならないので、背面は内容物が入る大きさを保ちつつも、箱の側面に傾斜をつけて、正面からの印象はスマートになるようにしました。草、炎、水の3つの箱が並んだときにも、それぞれが埋もれてしまわないような立体感も出せたと思います。

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ポケモンGXのカードを最初のスターターに封入するのは、ポケモンカードでは初めてです。GX自体が今シリーズからの新要素ですので、「このデッキにはポケモンGXが入っていて、すぐにポケモンGXの遊びを体験できるよ」ということを伝えるためにはカード全体が見えたほうが良いと考え、大きなマドを取りました。ポケモンGXはフルイラストでかなりかっこよく描かれているので、これだけで商品のメインアートになります。カードの印象をさらに強めるため、マドからブリスターが飛び出る設計にしました。

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紙はシンプルな一般紙を選びました。光るアルミ紙なども使えるのですが、この商品は軽やかで発色の良い一般紙が合っていると思ったので、こちらにしました。あとから強さや派手さを強調したい商品がどんどん出てくるので、それらとのバランスの想定も必要でした。3月17日に発売された「スターターセット改造 カプ・ブルルGX」は、デッキを改造したりコンボで戦ったりする一段階難しい商品ですので、内容の強さや充実度をより伝わりやすくするために、こちらには光るアルミ紙を選びました。

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ビジュアルをデザインする

ポケモンカードゲームを初めて遊ぶ人や、そもそもポケモンにくわしくない人にもわかりやすいように、メインとなる素材にはポケモンの形状をわかりやすくベーシックなタッチで描いた、汎用性のある3DCGイラストを使いました。ゲームで最初に選ぶ3匹で、たねポケモンを中心にして配置しました。草・炎・水のタイプカラーも、判別しやすいようにある程度広い面積を取ります。これで、誰が見ても「ポケモン(カード)の最初の商品」とわかるようにしました。

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背景には、タイプカラーの緑・赤・青で配色した上にGXロゴと同じメタリックなヘアラインのテクスチャーを入れることで、かっこよさやGXとの共通性を出し、斜めに区切ってシャープな印象にしました。
ヘッダーと上蓋は黒にして引き締めます。黒は強い色なので、とっつきやすさを失わない必要最低限の分量に抑えました。

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こうして試行錯誤を重ね、相反する要素をバランスよく取り入れた「ポケモンカードゲーム サン&ムーン」シリーズ最初の商品のパッケージが完成しました。この商品をきっかけとしてみなさんがポケモンカードゲームの世界に飛び込んできてくれていたら、とても嬉しいです。

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