2016年6月14~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたE3 2016。
視察に参加したクリーチャーズスタッフが、注目タイトルをレポートします。
開発2部 CGチーム/ジュニアアーティスト 渡邊麻里恵
初めまして。開発2部の渡邊と申します。
普段は、キャラクターに動きをつけるモーションデザインの仕事をしております。
この記事では、今回初めてE3に参加した私が、E3に出展されていたたくさんのゲームの中から心惹かれてしまったイチオシゲームをご紹介したいと思います!
ABZU
幻想的な海の中を自由に泳ぎまわり探索できるアドベンチャーゲームです。
海藻のカーテンの中を進んだり、魚の群れと泳いだり、大きな魚につかまって別の場所に連れて行ってもらったりと、海中散歩を楽しむことができます。
実際にプレイしてみると、操作するキャラクターの動きがとても滑らかで、本当に思い通りに自由自在に泳ぐことができました。自分の思った通りにキャラクターが動いてくれるということが、プレイヤーの気持ちよさにこんなに繋がるなんて……。改めてモーションの重要さを実感し、大変勉強になりました。
このABZUはグラフィックが本当に素晴らしかったです。
魚や他の海洋生物の鮮やかな色はもちろんですが、海の幻想的な色使いが印象的でした。穏やかな青もあれば、少し不安に満ちた仄暗い青もあり、実写のようなリアルな美しさとはまた違った、アートのような海の美しさが大変魅力的でした。
これを大画面でプレイできたら、きっと感動してしまいそうです。
また、シンプルな操作性や、必要最低限の文字やアイコンしか表示されない画面構成もまた、このグラフィックの良さをより際立たせていたように感じます。
ABZUは専用のブースも良い演出でした。魚が泳いでいる透明なディスプレイがアクアリウムのようで、ゲームの雰囲気が伝わってきました。
唯一の心残りは、公式トレーラーのような優雅な泳ぎができなかったことです。あんな風にプレイできていたらもっと楽しかっただろうなぁ。
Bound
バレリーナのように動く主人公を操り、不思議な世界を進んでいくプラットフォームゲームです。
※プラットフォームゲームとは、ジャンプなどで障害物を越えていくようなゲームのことで、アクションゲームのジャンルのひとつです。
主人公の独特な動きがとても印象的なゲームでした。
走るときやジャンプするときはもちろん、待機しているときでさえバレリーナを彷彿とさせる動きをします。壁を背にして足場の狭い道をゆっくり進んでいくときですら、つま先立ちになって少しずつ進んでいきます。動作ひとつひとつにどことなく憂いがあり、個人的にツボでした。
独特な動きをするのは主人公だけではありません。主人公の動きに合わせてまわりのオブジェクトや音楽まで不思議な反応をします。
主人公が走れば床が動き、それが波紋のように広がっていきます。はしごを登ればリズムよく音楽が鳴り、それに合わせてはしごの取手も回転します。
シンプルな色と形で構成されたステージとあいまって、この不思議な世界観にどんどん引きこまれてしまいました。
今回の体験版では、ジャンプや回避などの操作はありましたが、攻撃ボタンはありませんでした。
ボスのようなキャラクターが現れたところで体験プレイが終了してしまったので、この主人公がどうやって敵と戦い倒していくのかが非常に気になるところです。
HEAD LANDER
主人公が「頭」のアクションゲームです。
実は今回のE3で一番気になっていたゲームでした。
このゲームの販売をAdult Swim Gamesという会社が担当されているのですが、私はこちらの会社のスマホゲームが大好きなのです。
この会社は、大好きな女の子(岩)を人間どもに壊されて復讐に燃える主人公(岩)を転がして家屋や人を倒しまくるゲームや、失敗すると怒り狂うモンスターに見守られながらマンションを消していくパズルゲームなど、たくさんの面白いゲームを世に送り出しています。
余談ですが、個人的には「Robot Unicorn Attack 2」というゲームがオススメです。ユニコーンのロボットを操作するランゲームで、なぜユニコーンがロボットなのかはよくわかりませんが、ミスした時のユニコーンの大破っぷりが清々しくてとても良いです。
今回E3への視察が決まって初めて、Adult Swim Games社がスマホ以外、コンソールゲーム等でもゲームをリリースしていることを知り、一体どんなものだろうとワクワクしていたところ、期待していた通りの面白いゲームでした。
このゲームの魅力はなんといっても主人公が頭というユニークな設定です。
ゲームを始めると、いきなり主人公は頭だけになっているという、最初から面白い状態でスタートします。まさか出オチ……?と思いましたが、この設定はステージを進める上でもちゃんと重要な役割を果たしていました。
道が壊れて進めないときは頭を発射させて向こう岸まで渡り、狭い抜け道があれば頭だけで突き進み、文字通り上手に「頭」を使ってステージを進めていきます。
また、敵が現れた場合は身体がないと銃で攻撃ができないため、このユニークな設定は、頭と身体をうまく使い分けて進めていくゲームの面白さにもつながっていました。
体験プレイでは、侵入した部屋で敵の光線銃の猛攻撃に遭ってしまい、ゲームオーバーとなってしまいました。
どうやら主人公は人型ロボットだけでなく、首を装着できる部分があれば犬型ロボットにもお掃除ロボットにもなれるようで、どんなゲームに仕上がるのか、今からとても楽しみです。
初めてのE3を終えて
一通り紹介したあとで気付きましたが、今回ご紹介したどのゲームも。日本でのリリースは未定だそうです……。ABZUは海外での発売日が決定し、日本向けのリリースも視野に入れているそうですが、他の2タイトルに至っては発売日すら現在未定です。
いずれも日本向けに発売されることを期待して待ちたいと思います!
最後に、人生初のE3はとても刺激的なものとなりました。
各社のブースにはゾンビが出そうな家やマフィアがいそうなBarが建っていたり、世紀末なお兄さんと車が会場前の道を一本占拠している広告があったり、ゼルダブースのコンパニオンさんが美人ばかりだったり、肉がでかかったり……。アメリカのすごさを実感する場面がたくさんありました。
あらためて今年のE3を振り返ってみると、超目玉となる発表はなかったものの、人気シリーズの新作や過去発表されていたタイトルの発売日などがアナウンスされ、盛り上がり始めたVRも多くのブースで扱われており、今後のゲームへの期待がとても膨らむ内容だったように感じます。
私もいろんな人に楽しんでもらえるようなゲームを作れるよう、今後も励んでいきたいと思います!
拙い文章に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
(渡邊麻里恵)