JULY 11, 2016

ビジュアルと直感で遊ばせる個性派ゲーム【ポケモンカードゲームプランナーによるE3 2016レポート】

2016年6月14~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたE3 2016。
視察に参加したクリーチャーズスタッフが、注目タイトルをレポートします。

開発1部 企画チーム 塚本啓太

初めまして、クリーチャーズ開発1部の塚本です。
僕は主に、ポケモンカードゲームの企画やイラスト関連の仕事をしています。
E3には技術を駆使した大作ゲームが多数出展されていますが、そのなかでも、直感的に惹きつけられ、感覚だけで誰でも簡単に遊べるような作品に注目してみました。

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「BELOW(より下へ)」というタイトル通り、洞窟を下へ下へと探索していくシンプルなゲームです。
まず独特なプレイ画面に惹きつけられます。実際に遊んでみると、探検する目的も理由も語られないという、とてもシンプルな構成です。このシンプルさがビジュアルと相まって、不思議な世界観をつくり出しています。

画面は主人公を上から見ながら進むのですが、一般的な平面RPGやオープンワールド系ゲームよりも、とても遠くから見下ろすようなデザインになっています。そのため、主人公が敵と戦う時も、その姿が遠巻きにしか分かりません。
ぽつんと小さく表示された主人公や静かな音楽が、プレイヤーの不安を煽ります。

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さらに進んでいくと赤い光がこちらの方に向かってきます。
主人公と同じように、赤い光がどんな姿なのかはわからないのですが、一目でそれは敵だとわかります。
霧がかった洞窟の中で赤い光がうごめいているだけなのに、とても不気味に感じます。

ゲーム内ではテキストでの説明は一切出てきませんが、ひとつひとつのビジュアルから情報を読み解き、直感的にユーザーの心理に訴えることで、世代や国籍のハードルを越えて遊ぶことができるゲームになっています。

このゲームを制作したCapybara Games(カピバラゲームズ)は、「スキタイのムスメ」というゲームも出していて話題になっていました。
こちらもシンプルかつ独特なグラフィックで世界観を表現しつつ、プレイヤーを直感的に導いて楽しませてくれるゲームなので、ぜひオススメしたいです。

全然関係ないがカピバラゲームズという名前がかわいいですね。
ロゴもかわいかったです。

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「block’hood」は一目見ただけでぐっと心を掴まれてしまった一押しのゲームです。

「シムシティ」のように都市を育てていくゲームで、エネルギーを生産する発電所や、人が住むためのアパート、人からお金を集めるお店など様々な施設を限られた区画に建てていき、目的の都市づくりを目指します。

都市の区画には横幅の制限があるので、必要な施設をどんどん上へ上へと積み上げていくために、むちゃくちゃな構造の建物ができあがっていきます。
その独特なビジュアルはまるで香港にあった九龍城や、スタジオジブリ作品の「ハウルの動く城」、日本画家の山口晃さんの描く絵のようです。

構造物が、普段は考えられないようなアンバランスさで積み重なっている様子に僕はロマンを感じてしまいますが、みなさんはどうですか?

最も効率のよいバランスを目指すという頭脳派なゲームですが、独特のビジュアルが魅力的なので、効率を気にせずにガンガン建物を建てて、どんどんむちゃくちゃな都市をつくるだけでも十分楽しめるのではないかな、と思いました。

E3には世界中から本当に数多くのゲームが集まっているので、一目見ただけでワクワクするようなビジュアルのゲームは、それだけでも多くの人の心に残るのではないかなと思いました。
もちろん、ここで紹介したのは見た目だけではなく、遊んでも楽しいゲームなので、みなさんも機会があったらぜひプレイしてみてくださいね。

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(塚本啓太)

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