OCTOBER 5, 2016

ポケモンWCS2016を飾ったイラストたち【ポケモンWCS 2016 レポート】

開発1部 イラスト管理セクション 花川りな

初めまして。開発1部の花川と申します。
普段は、ポケモンカードゲームのイラストの発注、進行管理、ディレクションなど、カードイラスト制作に関わる仕事をしております。
担当業務の視点から、ポケモンWCS2016で見たイラストやデザイン物についてレポートいたします。
また、参加にあたって、私なりに掲げた「プレイヤーの方に声をかけてサインを貰う!」というミッションがあります。そのミッションの結果や、出会った様々な方との交流もご紹介したいと思います。

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会場を飾るポケモンたちのイラストについて

私はポケモンカードゲームのイラスト制作に関わる仕事をしているので、会場の装飾に使われているポケモンのイラストに注目してみました。

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まずは今大会を象徴するメインアート。サンフランシスコ名物であるケーブルカーをテーマに描かれていました。ポケモンたちそれぞれのキャラクター性がしっかりと表現されている、いきいきとした楽しげなアートですね。とくに、最初のゲームである『ポケットモンスター 赤・緑』のポケモンたちが描かれているのを見た瞬間、 20年を感じる懐かしい想いがこみ上げてきて、ジーンとくるものがありました。最初に登場したポケモンたちを乗せたケーブルカーで、ピカチュウが先頭を切り未来に進んでいくような、希望ある素晴らしいアートだと思っております。個人的にはニャースのオチの安定感にクスっときました。手前の地面にいるディグダのさりげなさも、おしゃれで好きです! ちなみに、関係者と参加選手に配布される「パス」にもメインアートや同一のデザインが施されていて、首ひもの細部までとても可愛いです。

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ポケモンカードゲームのイラストでは、種類の異なるポケモンを複数匹描くことはあまりしません。というのも、カード名になっているポケモンが、カードイラストの中でわかりやすく見えることに重点を置いているからです。カードイラストで複数匹を描く場合もたまにあるのですが、その際はカード名のポケモンがイラストの中で1番のメインに見えるように気を付けています。今回のメインアートは、ポケモンたちの集合絵ですので、ポケモンカードゲームとは異なった方向性のイラストになっていると思います。こういった賑やかなイラスト、ポケモンの関係性がよく表れていて楽しげですね。

カードイラストは、たくさんのイラストレーターさんたちにイラストを担当していただいているため、絵柄に様々なタッチがあるのが特徴です。今回のメインアートのイラストのタッチは、ポケモンの主線をわざと途切れさせていたり、ドッド柄の塗り表現が入っていたり、色の選び方がお洒落で、デザイン性も高いと思います。ポケモンカードゲームでも、こういったテイストのイラストも見てみたいなと思いました!

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そして会場内には、あらゆる場所にポップが設置されていました。ポップの中には、公式イラストがデザインされているものも多数ありました。公式イラストはポケモンの姿を表す大もととなるイラストで、日本でもおなじみです。しかし、見慣れたイラストでも全体の色使いや、統一感のあるモチーフの組み合わせによって、新鮮味のある、とてもおしゃれなデザインが生まれていることに、驚きを覚えました。

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どのポップも、背景はメインアートと同じ橋と雲、渦巻きのモチーフで構成されていたので、異なるポップでも全体的にまとまりがありました。そのうえでポップごとに感じる印象はそれぞれ違うものになっており、その変化が楽しめる点でも見ごたえがありました。

変化というのはたとえば、プリンのポップでは紺地に金色ラインが引かれることで、渦と橋の形がまるでクラシック調オーナメントデザインのような印象をあたえ、シンプルながらもさりげない高級感があるように感じました。

サンダースのポップのパターンは他のポケモンでも同じように使用されていましたが、それぞれのポケモンでタイプに合った背景色が使われており、そのポケモンの特徴がストレートに伝わるものになっていました。こちらにも他のポップと同じ橋と雲が使われていますが、白抜きされたシルエットがお洒落ですね。幾何学的な柄模様も入っていて、それをよーーーく見てみると、これもまた橋と渦巻きのマークが組み合わさって出来たものでした! 細かい演出も素敵です。

 

ポケモンWCSプロモカード「チャンピオンズフェスティバル」の制作について

ポケモンWCSならではのものといえば、例年選手に配布されるプロモカード「チャンピオンズフェスティバル」(年によってカード名が変わる場合があります)があります。このカードもクリーチャーズで制作しています。あまり広くは知られていないカードですが、「せっかく世界大会に参加できたのだから、何十年後にも思い出になるようなものにしよう!」という気合いを込めて作っています。イラスト担当者として、その説明をさせていただきます。

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さいとうなおき先生による、今年の「チャンピオンズフェスティバル」のカード。ポケモンWCS会場では英語版のカードが配布されます。

イラストのテーマは、その年の開催地にちなんだシチュエーションとなっています。 たとえば、2014年の開催地はアメリカ・ワシントンD.C.だったので、ワシントンを流れるポトマック川を航行する「ライド ザ ダックス」という水陸両用車が登場しています。2015年の開催地はアメリカ・ボストンだったので、ボストン・パブリック・ガーデンという植物園をイメージした背景になっています。
今年は、ピカチュウたちがサンフランシスコを観光しているようなイラストとなりました。

このイラストを担当されたのは、これまでも多数のポケモンカードイラストを描いてくださっている、さいとうなおき先生です。
今回、背景の吊り橋やケーブルカーなどのモチーフ指定はこちらからさせていただいているのですが、 ポケモンたちのポージングや関係性は、さいとう先生のアイディアとなります。
個人的にはフィッシャーマンズワーフ風の看板の後ろからひっそりと覗いているコダックと、 無邪気に元気よく動くゼニガメの対照的な様子が好きです。
さいとう先生の細かい遊び心には、日頃から常に感激しています。 今回も、楽しさが詰まっている素晴らしい1枚にしていただけたと思っています!

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2014年、2015年の「チャンピオンズフェスティバル」。


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さいとうなおき先生は、日本国内商品でも多数のイラストを制作されています。

余談ですが、こちらのイラストの背景となっている観光地に、私も足を運んでみました! フィッシャーマンズワーフ、オークランドベイブリッジです。
大好きなヤドンと記念の写真をパシャリ……。 まさに今回のイラストのように、サンフランシスコを楽しく観光できました!

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あなたのサイン、プリーズ!

今回ポケモンWCS視察に参加するにあたって、私が自分に課したミッションがあります。それは、「現地のプレイヤーさんのサインをもらう」ということです。海外の方と交流できるせっかくの機会なので、形に残る思い出が欲しいと思い、このミッションにしました。

サインをいただく自分のカードは、私が企画段階から携わった商品である、「ポケモンカードゲームXY BREAK コンセプトパック ポケキュンコレクション」のカードにしました。これを選んだ理由は、私の中で特に思い入れのある商品だということと、多くの方にポケキュンコレクションのカードを知ってほしいからです。

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というわけで、私は現地で外国人のプレイヤーに声をかけることを決意しました。私は英語が大の苦手で、会話はまったくできませんが、「目標はサイン100枚やで!!」という意気込みで、会場入りをしました。
実際にポケモンWCS2016の会場内を歩くと、いたるところでカードのファイルを開いているプレイヤーの方々がいらっしゃいました。お互いのコレクションを見せ合っていて、和気あいあいとしています。

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ところが、知らない人に気軽に「ちょっとファイルを見せてください!」と声をかけているプレイヤーの方を目の当たりにし、「いざ、私も…!」と思うのですが……英語が話せない恐怖心からか、なかなか声が出ないのです……。
そのまま時間だけが過ぎ、ちょっぴり心が折れていたときに、ふととある人のファイルを覗く と、「ポケキュンコレクション」のカードがファイリングされているのを発見しました!
実は海外では、「ポケキュンコレクション」としてではなく、ポケモンカードゲーム20周年記念商品「Generations」という拡張パックに収録されているんです。

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手前のチルタリスが、日本の「ポケキュンコレクション」に収録されているカードです。

それを見て話しかける勇気がわき、やっと声をかけられたのはDay2(大会2日目)になってからでした……(小心者です!)。
緊張しながらも思い切って話しかけると、プレイヤーの方々は、私のカタコトの英単語を汲み取ってくださり、快くサインをしてくれました。
「僕のサインですか?」と照れる方につられて私も照れてしまい、最初の緊張感はすぐに消え、とてもおだやかな時間を過ごすことができました。

お腹がぽってりとしていたキュートなプレイヤーの方にも声をかけました。その方はライチュウのカードを見て、「これは俺の腹にそっくりだぜ! ハハハ!」 と、私を笑わせてくれました。ライチュウはぽってりとしたお腹が可愛いですよね。
最終的には、10名の方のサインをいただくことができました。

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サインをいただいた10枚のカード。これらはすべて「ポケキュンコレクション」のカードです。

うろおぼえな記憶になってしまいますが、サインをいただいた方たちの似顔絵を描いてみました!

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作画:花川りな

目標とは程遠い結果になってしまい、もっと積極的になればよかった、と少し後悔していますが、この10名の方との交流は、私にとってかけがえのない思い出となりました。
ポケモンカードゲームは国境を越えて、世界中で愛されているんだなと深く実感できました。これからもずっとポケモンカードゲームを好きでいてもらえるように、皆さんに楽しさをお届けできる商品づくりに取り組んでいきたいです。

「ポッ拳」での出会い

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「ポッ拳」コーナーには、テーブルの上にゲームとモニターがずらりと並べられています。

今年のポケモンWCS2016、では「ポッ拳」の世界大会も同時開催されていました。「ポッ拳」コーナーではフリー対戦が可能だったため、私はその場で対戦相手を探しました。
サインをもらうのにすら苦労していましたから、対戦に誘うのもとても緊張しましたが、たまたま1人の少年が通りかかったので、勇気を出してバトルをお願いすると快諾してくれました!
スタート画面の段階からどう対戦準備をしていいかわからず、操作にてこずっていると、 その少年が私の様子に気付いて、代わりに操作してくれました。 優しさがとてもあたたかかったです。

対戦は、「彼:カイリキー VS 私:ピカチュウ」です!
「ポッ拳」の対戦はとてもスピーディーで、息をするのを忘れてしまいそうになるくらいの真剣勝負でした。
結果は彼の勝ちで終えました。 私は負けてしまいましたが、数セットとることができたので、初めてにしては良い勝負だったのではないでしょうか!

対戦中はワザの応酬や駆け引きでスリリングな時間を共有したためか、一度対戦しただけで、相手の彼に一気に親近感がわいてしまいました。まるで友だちのように顔を見合わせながら笑いあい、対戦後は、ツーショット写真を撮るくらい打ち解けることができました。
国籍が違う初対面のふたりが、一瞬で打ち解けることのできる「ポッ拳」は、ゲーム対戦が面白いだけでなく、素晴らしいコミュニケーションツールでもあると感じました。

そしてここでも、前述の「サインプリーズ企画」を発動しました。対戦してくれた彼からカードにサインをいただきました。彼は「ポッ拳」ファンだったのかもしれませんが、ポケモンカードゲームを紹介できる機会になって良かったな、と思っています!

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奥に座っているのが、私と対戦してくれた方です。

ジャッジの方との出会い

大会終了後の空き時間では、いろいろな参加者の方たちとお話したり、対戦をしたりして交流をしました。そこで、ジャッジ兼オーガナイザーをしている現地の方とも対戦をすることができました。

対戦ですが、私は海外発売前のカードをメインにした、ボーマンダEXデッキで臨みました! このデッキにした理由は、今回同行した開発1部 企画チームの前野からもらった、「海外でまだ手に入らない日本のカードが見れたら、喜んでもらえるんじゃないか?」というアドバイスがあったからです。
アドバイス通り、初めて見るカードはめずらしかったようで、対戦相手の皆さんはとても喜んでくださり、 楽しく対戦することができました。前野先輩、ありがとうございます!

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ジャッジの方と対戦!

最後に ポケモンWCS 初参加を終えて

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ポケモンWCS2016は、まさにライブ会場のようでした。
たとえば開会式の映像で、自分の国名が出ると選手が声を上げて盛り上がったり、 決勝戦の白熱した戦いに拳を突き上げて応援したりと、つねにたくさんの歓声が上がっていて、日本国内の大会とはひとあじ違う熱気でした。全員がポケモン愛でひとつになった一体感も感じられました。

オリンピックイヤーでもある2016年ですが、まさに世界の祭典のようで、なぜだか思わず目頭が熱くなりました。 プレイヤー同士もお互いをリスペクトしあっている様子で、和やかであたたかみのある空気でした。

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カード大会 シニアディビジョンで優勝した選手が仲間に胴上げされていました。みんなが全身で喜びを分かち合っていました!

実際に、今回私がサインをいただいた10名のプレイヤーの方々もとても紳士的で優しくて、 みなさんの「ポケモンが大好き」という気持ちもよく伝わってきました。
私は、そんなプレイヤーたちの様子を実際に見て、開発に携わる一員であることを、とても誇らしく思いました。

ポケモンカードゲームは、ポケモン総合プロデューサーの石原恒和氏から、新シリーズ「ポケモンカードゲーム サン&ムーン」と、新しい要素「GX」の発表があり、これからさらなる進化を遂げます。会場の皆さんが息を飲むように石原さんのお話しに耳を傾けていたのを見て、期待に応えなければならないという責任も感じました。

今回のポケモンWCS2016で得た熱い気持ちを忘れずに、今後も業務に励んでいきたいと思います!
ありがとうございました。

(花川りな)

 

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