開発1部 アートデザインセクション 長屋悟
みなさんこんにちは。クリーチャーズ開発1部にてグラフィックデザイン業務を担当している長屋です。
今回は、8月19日~21日に行われた「ポケモンワールドチャンピオンシップス2016」(以下、「ポケモンWCS2016」)と、その会場となったサンフランシスコの街で見かけた興味深いデザインなどをお届けしたいと思います。
出発の日(8/18)
日本を出発したのが8月18日の夕方です。クリーチャーズは毎年1週間ほどのお盆休みがあるのですが、今年のお休みは11日~18日だったので、お盆休みをしっかり満喫し、休みの最終日に出発しました。お盆休みと出張が繋がっていたので、残してきた仕事の不安とこれから訪れるアメリカへの期待が入り混じった感情の中、旅立ちました。

空港で無事クリーチャーズメンバーと合流。これから9~10時間のフライトです。
アメリカのサンフランシスコ国際空港へ到着したのが18日の午前10時くらい。日本時間でいうと深夜2時くらいですね。
日本時間なら寝る時間ですが、アメリカ時間ではこれから1日の始まりということで時差ボケとの戦いが始まります。まずはバスでホテルへと向かいます。
到着した日はポケモンWCS2016開催の前日ということで、リハーサルが行われる予定の日です。(今回の会場は宿泊するホテルの地下なのでとても便利でした。)ホテルに到着しチェックインはしたものの、まだ部屋の準備ができていないということで、まずは皆で昼食をとることに。
街に出てみるとサンフランシスコは日本とは違って肌寒い気候でした。
サンフランシスコの町並みを眺めつつ近くのハンバーガー屋さんに行き、慣れない英語で注文。
すると、注文した覚えのないポテトもセットに……。
英語分からない(汗)、と思いつつ、まあお腹も空いているしいいや、と、いただきました。日本では最近ハンバーガーを食べることはなかったので、久しぶりで美味しかったです。ポテトは山盛りすぎて皆で分けました……。
昼食をとり終える頃には、部屋も準備できている時間だったのでホテルへ戻り、ようやく入室。今回宿泊したホテルはマリオット・マーキスというホテルだったのですが、客室1000部屋を超えるとても大きなホテルでした。私が宿泊した部屋は23階だったので眺めも抜群でした。(しかし私は高所恐怖症だったので、実は少し怖かったです。)
中央にある低い建物が、スティーブ・ジョブズがiPadを発表した会場、イエルバ・ブエナ芸術センターです。その上の茶色い建物はサンフランシスコ近代美術館。
右端の方にはサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地であるAT&Tパークが少しだけ見えます。読売ジャイアンツファンの私としては、チーム名の由来になっている本物のジャイアンツの本拠地を今回絶対に訪れようと思っているので、とても楽しみです。
ポケモンWCS2016は明日からなので、適度の休息を取りつつ、気がつけば夜の食事の時間になりました。夜はさらに冷え込み、出かける前にカバンから長袖を1枚出して置いてきてしまったことを激しく後悔しました。
では、夜のサンフランシスコの街を見てみましょう。
街を走るバスはどうやら電気で走っているらしく、パンタグラフが付いていて、道の上に張り巡らされたトロリー線を掴みながら、右折も左折もうまくできる仕組みになっていました。日本ではこのような仕様のバスは見ることがないので新鮮でした。
歩行者用信号は日本とは違って進めも止まれも同じ色だったような記憶でしたが、改めて写真を見ると進めは白、止まれはオレンジですね。進めの時は止まれまでの秒数が表示されていました。車両用の信号は青黄赤と日本と同じですが、歩行者の方は緑と赤は使わないんですね。低い位置に車両信号がある場所もあったので、もしかしたらドライバーが見間違えないように、という考えがあるのかもしれません。
こちらは酒屋さんのウインドウ。
カリフォルニア州にあるゴールデンステート・ウォリアーズというチームのPOPみたいなものが飾ってありました。宿泊地から少し離れたところにあるオークランドが本拠地なのでこの辺りにもファンが多そうです。
まだまだ色々伝えたいことはありますが、テンションの上がったクリーチャーズ社員の変なダンスを見せられたところで初日は終了。明日からはいよいよ大会が始まります。
大会初日(8/19)
ポケモンWCS2016初日。開会式が9時からということで早起きだ!と思っていましたが、時差ボケのせいで夜中3時に目が覚めてしまい、そのまま朝に。ホテルの部屋から外を見ると、早くも会場入りのために並ぶ人々の姿も見えました。さすが世界で人気のポケモンだと、朝から驚きです。
エレベーターで会場まで下りると、そこには液晶ディスプレイ付きの会場案内図が。
今年は「ポッ拳」の大会も一緒に開催されるので、会場が2箇所に分かれています。
入り口を進むと会場までの間に、様々なパネルが置かれています。
ポケモンWCSのアートは毎年とてもかっこいいです。今回はサンフランシスコということで、ケーブルカーやゴールデン・ゲート・ブリッジが描かれています。日本のポケモンカードゲームのパッケージでもこういったデザインを取り入れてみたいなと密かに思っています。(実現する日は来るのか!?)
開会式前の会場に入ると、まずはその広さに驚きです。会場前方を見ると、ゴールデン・ゲート・ブリッジをイメージしたセットが組まれています。
会場を見渡すと、開会式前ということでスタッフが慌ただしく動いていましが、そこには上位入賞者に渡されるトロフィーもありました。とても精巧な作りで、優勝のトロフィーの台座が準優勝や3位よりも一番高くなっていたり、細かいところまで考えて作られています。
参加者も入場し始め、クリーチャーズスタッフも集合。間もなく開会式が始まります。
席に着くとどこからともなく手拍子が始まり、前方のスクリーンでは、開始5分前のカウントダウンが始まりました。
カウント0と同時に始まったムービー。各国の国旗と国名が表示されていくのですが、自国が表示されたときの参加者の盛り上がりが凄いです。さすが世界大会。ちょうどリオオリンピックが開催されており、私もテレビで観戦していましたが、それに勝るとも劣らない熱気でした。
ムービーが終わると司会者登場。そのあと、ポケモン総合プロデューサーの石原恒和氏が登場し、「ポケモンカードゲーム サン&ムーン」の発表が!
クリーチャーズで作った映像が流れた後、石原さんの説明が続きます。その間、スクリーンにはGXのロゴが。
今回、世界戦での「GX」発表のタイミングは、私が最も期待していた瞬間でもあります。なぜなら大会の数ヶ月も前から、このGXのイメージビジュアルを作成していたからです。GXの重厚感を表現すべく、社内のアートディレクターと打ち合わせを重ね、何度も修正作業をしてきました。帰る時間が深夜になることも多々ありました。このくらいまでできていれば問題ないのではないか?などと思ったこともありましたが、最後までクオリティを追求し続けたことで納得のいくものが出来上がりました。そのロゴが世界の舞台で大きく映し出されて会場が沸き上がった瞬間、長く苦労したという思いは吹き飛び、感動だけが残りました。
ポケモンカードゲームに熱い想いを寄せてくれている人たちが、新シリーズへどれだけ期待をしているか、肌で感じることができました。世界中で展開される商品を作ることができるというのが、クリーチャーズの魅力の一つです。最後にゲームフリーク増田順一さんのお話もあり、開会式は終了し大会はスタートしました。
沢山の人がバトルを繰り広げる光景をしばらく視察したあと、朝食をとりに外へ。
アメリカは街の看板や道路標識など、ただあるだけなのに絵になるな、という感じです。英語だとかっこよく見えてしまう、デザイナーにありがちなそれなのかもしれませんが、よく見ると、日本の看板の雑多な感じとは全く違い、色数も少なくシンプルにまとめられていることに気付きました。日本はとにかく目立たせようとする傾向がある気がしますが、こちらは景観のことも考えて作られているように感じました。
しばらく歩くと朝食メニューのあるお店を発見。
お店の頭文字とコーヒーを融合したような可愛いロゴ。シンプルでいいですね。入店し朝食をいただきます。
窓から外を見ると警官が自転車を停めて店内へ。自転車ロックが手錠でした! そんな使い方していいのか!?(笑)
食事を終えて近くのスーパーへ。そこでポケモンカードゲームが売っていました。
日本での売り場では、本物を陳列するのではなく、商品を模した紙の札を下げて、それをレジに持っていくという売り方をしているところが多いのですが、このお店では本物の商品を並べていました。他メーカーのカードゲーム商品の中ではポケモンが一番多く並べてありました。朝、大会会場の熱気を感じて、人気を目の当たりにしているだけに、こんなに数が多いのも納得です。
とまあ、大会初日の日は他にも色々ありましたが、この辺で。

おまけ:夕食のレストランでは、メニューにピカチュウがデザインされた特別なものでした!
大会二日目(8/20)
さて二日目のスタートです。
初日に大会の様子を載せていなかったので、ここで数枚掲載しておきましょう。
日本の大会ではクリーチャーズ社内でデザインしたカードグッズ(デッキケースやデッキシールドなど)をよく見かけるのですが、ポケモンWCS2016では、海外限定で日本では見たことのないグッズを持っている選手を発見することができました。日本でも海外に負けないように私が所属するデザインチームからも良いものを生み出していきます!
こちらはビデオゲーム、カードゲームの様子。
こちらは「ポッ拳」会場の様子。柱に設置してあるパネルも、「ポッ拳」のキャラクターを使用したデザインになっています。かっこいいですね。
さて、二日目も熱い戦いが繰り広げられています。この日は大会観戦後、GAME STOPというゲームショップへ足を運びたいと思います。
外は相変わらず肌寒いですが、もちろん町中のデザインもチェックします。
車両用の信号は縦並びですね。設置場所も高い位置にあったり低い位置にあったりとバラバラです。聞くところによるとアメリカの信号はセンサーが付いていて、交通量の少ない方を赤に、多い方を青にする機能が付いているとか。
レンタル自転車もありました。とにかくよく見かけたので気になって調べてみたのですが、Bay Area Bile Shareという名前で、70カ所あるポートに、計700台もの自転車が配置され24時間いつでも利用できるそうです。日本でもここ最近、この写真と同じように複数台停めてある赤い自転車を見かけます。こちらも調べてみたのですが、都内では江東区、千代田区、港区、中央区で利用できるそうです。いずれかの区で会員登録することで利用できるそうですが、会員であれば、今年の2月からは実験的に4区全てのポートで貸出・返却ができるそうなので、規模的にはサンフランシスコに負けないくらいのものになっていました。気軽に自転車を利用できるのは便利ですね。
Tシャツ屋さんらしきところに、日本語のデザインを発見! なんともいえないセンスですね。きっと日本でも英語の書いてあるTシャツを着ていると、外国人にはこのTシャツのように面白がられるのでしょう(笑)。
そうこうしているうちにGAME STOPへ到着。
まずはポケモンカードゲーム売り場をチェクしてみます。昨日行ったスーパーのカードゲーム売り場は実際の商品を陳列していたのですが、こちらはショーケースに入っており、商品を模した札を並べていました。それにしても海外のパッケージは、日本とは違うかっこよさがありますね。
ゲームのほうも『ポケットモンスター サン・ムーン』の予約を受け付けていました。ちなみにこちらのPOPに使われている、太陽と月が半分ずつになった背景デザインですが、これもクリーチャーズで作成したものになります。先日、日本のコンビニエンスストアでもこのようなポスターを見かけましたが、アメリカで見ると感動の度合いが違います(笑)。
その後も店内をうろちょろし、ポケモンの3DSカバーなども見つけました。タッチペンやクリーナーなど、いろいろ入って24ドルくらい。
一通り見終え店を後にし、近くにあったコンバースショップや地下鉄構内などをウロウロ。コンバースショップでは、自分の好きなように靴をカスタムできるらしく、日本でも始めてほしいなと思いました。
地下鉄構内はとても広く、日本の地下鉄の駅とはだいぶ違う印象でした(この駅だけかもしれませんが)。試しに切符を購入しようと思いましたが、電車に乗る人たちが並んでいたので諦めました。
地下鉄の入り口には波線のようなマークが。これはよく見るとmuniと書いてあるんですね。サンフランシスコ市営鉄道(San Francisco Municipal Railway)のロゴでした。「Municipal」のmuniです。この辺りのバスや電車はすべてこの鉄道会社が管轄しているようです。会社でこのようなロゴデザインを提案したら、読みにくいと不採用になる気がします(笑)。
最後の写真はバスに乗った際に渡されるチケットです。こちらでは最初に乗車した時間から90分間は乗り降りが自由だそうで、バスを乗り換えるのも90分以内であれば追加料金なしでOKとのことでした。
ホテルへ戻ってからは、会場内に設置されたポケモンセンターへ。
ポケモンWCS2016のグッズを中心に色々なグッズがありました。ポケモンWCS2016グッズでは特にデッキシールドが人気だという情報を聞いていたのですが、私が訪れた時に運良くデッキシールドの補充をしているところだったので、会社のデザインチームへのお土産として購入することができました。お店の棚もポケモンWCS2016のオリジナルデザインでとてもいいですね。
そんなこんなで時間は過ぎ、食事をしに夜の街へ向かい二日目は終わりです。
大会三日目(8/21)
本日はいよいよ決勝戦です。
「ポッ拳」の優勝者は1日早く決定しているので、この日はカードゲーム、ビデオゲームの決勝戦が行われます。それぞれジュニア、シニア、マスターの3部門あります。目の前で行われている対戦を見ながら、弊社スタッフも参加しているニコ生実況もスマホでチェックします。めでたく日本の選手も優勝を勝ち取っていたので嬉しく思いました。
すべての対戦が終わり、閉会式へ。トロフィーの授与式が終わりクライマックスを迎え、最後に来年の開催地がアナハイムであることが発表されました。ポケモンWCS2017のアートはどんな風になるのか、今から楽しみです。
こうしてポケモンWCS2016は幕を閉じました。
最後にいくつか、紹介できなかった写真をまとめて掲載します(無事AT&Tパークにも行きました!)。地面に絵が書いてあったり、お店の壁に直接ペイントしてあったり、トラックに落書きしてあったりと新鮮な光景ばかりで、普段受けることのできない刺激をたくさんもらってきました。これは日々の業務に生かさないともったいないですね。
(長屋悟)
©2016 Pokémon. ©1995-2016 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。